【完】ぎゅっとしててね?
部屋でDVDを流し見ながら。
美味しいクッキーを食べて、のほほんと過ごす。



芙祐ちゃんは極めて楽しそう。



2人で4人掛けのソファに座ってる。


このソファさ、買った時思ったけど。
2人の距離が縮まんないんだよね。失敗。



なんて、つまんないこと考えてたら、芙祐ちゃんが顔をあげた。



「コレね、アタリなの」


「アタリ?」


俺の目を見つめながら、少しほほ笑む。
肩にかかって揺れる髪から花の匂い。



少し赤い頬に、大きな目、上目遣い。
唇がゆっくり動く。




「……あーん、して?」



……って、まじ?



「……」


数秒まよったけど、観念して口をあけた。



「やっぱり慶太くんは食べてくれたー」



芙祐ちゃんは満足げに笑う。
俺はよそを向いて、平気なふり。



「……あ。なにこれ?めっちゃうまい」


「でしょ。究極の一枚。他は固くなってごめんね」


「全部うまいよ」


「うそばっかり」


「本当」


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