【完】ぎゅっとしててね?
お家デート
SIDE 芙祐
***
慶太くんにキスしてたの。
そしたら、耳元で低い声。
「……もう我慢できないんだけど」
そう聞こえた瞬間、ソファベットに押し倒された。
目の前には、覆いかぶさるように慶太くんが見える。
「……え?」
え?
ええ?!
首筋にキスをおとされた。
オオカミ。オオカミ。オオカミ。
「ちょ、っと。待って……慶太くん」
あたしの声に動きを止めた。
「……どうしたの?」
オオカミなのに、優しい声。
どうした、って。
……どどど。
どうしたもこうしたもないんだけど。
このドキドキやまない心臓と、混乱する頭のせいで、言葉が出てこない。