【完】ぎゅっとしててね?
天気は徐々に下り坂。
外、雷鳴ってるんだけど。


放課後になってすぐ、


「芙祐ちゃーん」


ってダイスキな声。


待ってたよ。


鞄に教科書を入れるあたしのところに、慶太くんが来てくれた。



「あれ?なんで体操服?」


「転んだの。泥だらけになったんだよ」


「ははっ。嘘でしょ?」



高校生になると滅多にしない経験だよね。
泥んこダイブ。



「ってか、それ誰の?坂木?」


「ヤヨのだよ。ヤヨまで泥まみれにしちゃって」



……。

ん?



「……そうなんだ。大変だったね」



今の間、なんだった?



にっこり笑う慶太くん。



「じゃ、帰ろうか」


差し伸べられた大きな手を握って、隣を歩き始めた。




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