【完】ぎゅっとしててね?
「……芙祐」



ヤヨに手を掴まれた。



「起こしちゃった?喉乾いたらそれ飲んでね」



「んー…」



寝ぼけと熱で朦朧としてない?
意味があるかはわかんないけど、額の上のハンカチを裏返してみた。



「保健の先生呼んでおいたから、もうすぐ来ると思うよ」



軽く頷くヤヨ。ついに言葉、聞こえなくなっちゃったよ。


うーん、大丈夫かな。



「飲む?」



ボカリの蓋を外して手渡した。
飲んだら、ヤヨの目力がほんのちょっと復活。さすが世界のボカリだね。



さんきゅってかすれそうな小さな声。
弱ったヤヨってなんか可愛いかもしれない。



目を閉じて、とっても眠たそうにしてるから。



寝かせてあげよ。
そう思ってカーテンの外に出ようと、手を伸ばしたとき。





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