【完】ぎゅっとしててね?
あたしたちの価値観
SIDE 芙祐
***
移動教室から戻ってくると、ヤヨの机はすでにカラッポ。
ヤヨ、もう帰ったみたい。
「芙祐ちゃん」
今日も慶太くんとお弁当を食べる。
カップルっぽいよね。
「慶太くん、今日は藍ちゃんと3人でもいい?匠くんお休みだから」
「了解。風邪流行ってるよね。はいこれ。」
手渡されたのは、さっきヤヨをぐるぐる巻きにしたひざ掛け。
「なんで慶太くんが持ってるの?」
「さっき廊下で弥生くんに会ったんだよね。しんどそうだった」
「へろへろだったでしょ」
「かなりね」
3人で廊下のベンチに移動。
今日はここでお昼ご飯。
他愛もない話が進む。
ふと、ヤヨのこと心配になってきた。
ちゃんと家についたのかな。
さすがについたよね。子供じゃないし。
……。
うん、でも一応メールしとこ。
「芙祐ちゃん?」
「んー?」
「今日の放課後俺用事あるから、先に帰ってて」
「そうなんだ。わかったよ」
「藍ちゃんは匠の家に行くんだ?」
「うん。一応行かないとすねそうだし」
「はは。わかるかも」
お弁当も食べ終わって、のんびりしたころ。