【完】ぎゅっとしててね?
「"俺の女になって"」



ヤヨに言われたそのセリフ。
耳元で呟いてみたら。



ガタンっと、机にぶつかって、あたしのほうを向き直す、ヤヨ。



「……なん、」



みるみるうちに赤くなる。



なにそれ、可愛いんですけど。



「あれは……ほら……」



しどろもどろ。あわあわ。


なにそのリアクション?
あたしまで照れるじゃん。


寝ぼけてただけでしょ?



「嘘だから!」



「わかってるよ」



シイーン、と2人の間だけに沈黙。
教室のザワザワ、ありがたや。




「芙祐ー、弥生ー、おはよ。って何?2人してなんで固まってんの?」



登校してきた藍ちゃん、ナイスタイミング。朝からいいシゴトするよね。






藍ちゃん、ヤヨを見るなり、



「弥生、ごめん。この前言ったことなんだけど、間違いだった……」



なんだか深刻な話?


こそこそ話始めちゃった。
あたしの前でヒドイ。
仲間はずれだ。
でも文句は言わないよ、藍ちゃんだからね。



キーンコーンカーンコーン……



HRのチャイムが鳴って、みんなが席に戻るころ。


ヤヨがあたしに振り向いて



「この貧乳女」



って、なんの悪口。




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