【完】ぎゅっとしててね?
♡
ヤヨと匠くんの風邪もすっかり治って、寒さが増した12月。
定期テストがやっと終わったところ。
今ね、例によって魂抜けてるからね、あたし。
テスト明けだから、今日の放課後は慶太くんとデート。
映画に行くんだよ。粋でしょ。
「芙祐ちゃん、大丈夫?」
「平気だよー。慶太くん昨日徹夜しなかったの?」
「してないよ。今日英語だったから」
「まさかノー勉?」
ひー。羨ましすぎてとっても眠い。
「ちょっと寝たら?起こすよ」
「本当?じゃあ10分だけ……」
机に突っ伏して、一瞬で夢の中。
髪をサラサラ撫でる手。
気持ちい。
「……芙祐ちゃん、そろそろ起きよっか」
目を覚ますと、慶太くんの眩しいスマイル。
寝起きの気分最高にイイ。
「ってもう1時間以上寝てるじゃん」
「ごめんね。俺も寝てた」
絶対ウソ。
あたしが爆睡してたからでしょ。
……優しいなぁ。
おかげで眠気はスッキリしたよ。
「慶太くんが目覚まし時計だったらあたし遅刻しないなぁ」
「起こそうか?」
「あたし電話じゃ起きれないんだよ」
「なんだ、残念。寝起きの芙祐ちゃん可愛いのに」
「ちゃらい」
「ははっ。行こ」
手を繋いで、駅に向かう。
今日は置きチャリ。
「なんの映画観よっか」
「芙祐ちゃん恋愛モノが好き?」
「好き。でもホラー以外なんでも好き」
「俺も」
ホント、気が合うよね。