【完】ぎゅっとしててね?
翌日の学校。


今日は遅刻しなかった。


教室に向かう途中、前の方にヤヨが見えた。


ヤヨに話すことなんか特にない。


小走りでヤヨを追い越して、もっと前。



「慶太くん、おはよ」


「おはよう。今日は早いじゃん」



えらいねって、朝から爽やかスマイル。



「今日慶太くんの家遊びに行ってもいい?」


「いいよ。部屋汚いけど」


「とかいっていつも綺麗じゃん」


後ろの方を歩くヤヨが、こっちを見てるかなんて、わかんないけど。


見せつけるみたいに、腕組んだりして。


あたし、いま本当に性格悪いことしてる自覚あるよ。



でも、ヤヨなんか。


勝手にすればいいもん。



頭の中を巡る、ヤヨと麻里奈ちゃんのキスシーン。見なきゃよかった。



「……」






後ろを振り向いたら、もうヤヨはいなかった。




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