【完】ぎゅっとしててね?


「きりーつ、礼」


3限が終わった。
やっと昼休み。



「芙祐、これ写すだろ?」


前の席に座るヤヨは、あたしの方を向いて、ポンっと机に数学のノートを置いた。
ヤヨはいつも通り、あたしに数学のノートを見せてくれる。



「……いい。あたし、自分でやるから」



パタン。
教科書ノート、全部閉じて、席を立つ。



「藍ちゃん、英文科行こ」


お弁当を持って、まっすぐ藍のもとへ行くよ。


一部始終みてたのかな?藍ちゃんがヤヨを心配気に見てた。



「芙祐感じ悪いよ……弥生と何かあったの?」


「何もないよ」


藍ちゃんはそれ以上言及しなかった。




英文科について、慶太くんと匠くんと4人でご飯。



さっき、ヤヨにしたことを思い出してたら。罪悪感がどんどん増してきたよね。
うん……感じが悪かった。



「どうしたの芙祐ちゃん」


あたしの眉間を指さす慶太くん。


「えっと……数学の宿題多いなあって」


「宿題か。放課後うちでやる?手伝うよ」


「ありがとう」



にっこり優しい笑み。
癒される……。


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