【完】ぎゅっとしててね?
俺は数学やろうって言ったから。
誘ったの、芙祐ちゃんの方だよね?
にやり、口角をあげた俺。
芙祐ちゃんは疑問符をうかべた。
……夢中になってよ。
「……っ」
芙祐ちゃんの息が乱れる。
……可愛すぎ。
あ。抵抗し始めた。
彼女は思いっきり俺を引きはがして、頬を紅潮させて俯いた。
言われた通り、キスしただけだよ。
……何か言いたいみたいだね。
俺がくすりと笑うと、芙祐ちゃんは唇をきゅっと閉めた。
「顔赤いよ」
「だって、ディープ……」
「何?」
「―――。色気大魔神」
くすくす肩を震わす俺に、「右ストレート」だって。
にわか仕立てのボクシング?
「してって言ったの芙祐ちゃんでしょ」
頭の中、俺だけにしてよ。
息つく暇もないくらい。