【完】ぎゅっとしててね?
…………。
……。
「寝ちゃった?」
返事がない。
……ほんと、無防備な寝顔。
長い睫、僅かに涙が絡んでる。
頬を赤らめて、最後まで「好き」って、何度も何度も。可愛すぎるから。
誰にも見せたくない。
すぅっと息を吸うその唇に、キスをした。
「……どこにも行くなよ」
ぽつり、そう呟いた時。
「んん……。慶太くん」
芙祐ちゃんがうっすら目を開けた。
……聞かれた?
「ごめん、寝ちゃった」
よかった。
聞かれてない。
今の聞かれてたら、かなりださいから。
「寝てていいよ」
「あ。腕まくらだ」
はにかむ横顔。
腕に柔らかい頬があたった。
まどろむ芙祐ちゃんの髪を撫でたとき。