【完】ぎゅっとしててね?
女の子に距離つめて。
一歩さがった女の子に向き合って、
じぃっと見つめちゃう、ヤヨ。



詰め寄られちゃったせいかな。
みるみるうちに赤くなる、彼女のほっぺ。



「俺が芙祐と話したくて勝手に話してんの」




ヤヨの言葉が耳に届くと。
女の子はヤヨの体を両手で押しのけて。


「馬鹿じゃん!」


そう言って逃げてっちゃった。
口が達者な真っ赤なほっぺちゃん。




”俺が芙祐と話したくて勝手に話してんの”



やばい。
リピート機能が作動しちゃってる。




「……かばわなくても平気なのに」



「芙祐のことは放っとけねぇから」



さっと、目そらしちゃって。

ちょっと照れた横顔してる。



……そんなの見せないでよ。



嬉しいなんて思いたくない。




「ねぇ、ヤヨ。待ってよ」



帰ろうとするヤヨを止めた。




「なに」




優しいヤヨちゃん。
ばいばいしよ?



あの子のいうこと一理あるんだよ。



あたしは
ぼうっとヤヨを見上げた。




< 373 / 449 >

この作品をシェア

pagetop