【完】ぎゅっとしててね?
「芙祐ちゃん」



自問自答の最中。
廊下の先、英文科の棟の方から、慶太くんが手を振ってる。


片手をあげて、ひらひら振る。
でも、顔にでてたのかな?



「大丈夫?」


慶太くんが心配そうにあたしを撫でる。
その手、ぎゅっと握りしめた。



「大丈夫だよ。帰ろっか」




人間関係ってこんなに難しかったっけ?



うまくいかなくなったんだから
ばいばい、って。終わりでいいじゃん。




眉間にしわ寄せて、考え事をしてたら。



「ごめん、さっきのほとんど聞いてた」



って慶太くんの告白。


「え?!」



やばい。どこから聞いてたんだろう?


あたしのリアクションを見て、困り顔で笑う。慶太くん。



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