【完】ぎゅっとしててね?
バレンタイン(SIDE 慶太)
SIDE 慶太
***
正直ね。
芙祐ちゃんが弥生くんを避けることって。
毒にも薬にもならないというか……。
「慶太くん、おまたせっ」
弥生くんを巻いてきたんでしょ。
そのぎこちない笑顔は、ザイアクカン?
「帰ろっか」
どんな形でもいいか。
”頑張って”でも俺だけを見ようとしてくれる、
真摯さを評価しとくね。
たしかに、弥生くんのこと100パー邪魔だし、
助かるには助かるけど。
「……芙祐ちゃん。誰のこと考えてんの」
「え!?」
ほら。
逆に意識してるよね。
うん、毒かも。
でも、まぁ。
「無理しなくていいよ」
俺が責任もって、
芙祐ちゃんのこと、ちゃんとおとすから。
「バレンタインの日、放課後にデートしない?」
「する」
頷く芙祐ちゃん。
その邪心溢れる頭の中、
とりあえずチョコでも詰めといてよ。
「どんなチョコがいい?それとも別のお菓子?」
あ。本当にチョコ詰まった。
「ははっ」
「なんで笑うのー?」
「ちょっとね」
♡
昼休み。一緒にご飯食べようってメールが来てたから。
芙祐ちゃんを迎えに行った。
「芙祐ー起きてよー」
芙祐ちゃん、爆睡中。
藍ちゃんに肩を揺すられてるけど、起きる気配ないね。
「あー、慶太くん。芙祐起きないんだよね」
「起きるまで起きないでしょ」
芙祐ちゃんのはひとより頑固な睡魔みたいだからね。
隣の席に座って、パンの袋を開けた。
半分以上食べたけど、
……起きないねぇ。
可愛い寝顔して。