【完】ぎゅっとしててね?
放課後のチャイムが鳴ってすぐ。



芙祐ちゃんのクラスの前についた。



教室の中は帰る準備する人や、部活の準備をする人でごっちゃごちゃ。
こうして見る、やっぱり普通科って人数多いなぁ。


一番前の席の芙祐ちゃん。
お。ちゃんと起きてたんだね。



教卓の前で、芙祐ちゃんと先生が何か話してる。



「お前ら最近変じゃないかー?」


……お前ら?

あぁ。
人影の死角にいたんだね、弥生くん。



「変じゃないですけど」



芙祐ちゃんがつんっと言い放つ。



「痴話喧嘩か?こういうのは男が折れたら早いんだから。な?坂木」



にやにや、せっつくように言う。
何だよ、この空気の読めない先生は。


人ごみを避けながら、教卓に近づいた。




「”俺の彼女”、返してもらっていいっすか」



まさに棒読み。

芙祐ちゃんの後ろから、腕を回して、回収。



「わっ、慶太くん?」



顔を赤らめる芙祐ちゃん。



……弥生くん、これね。
この前の仕返し。受け取ってね。



ていうかさ。
前からこの先生には言いたいことがあったんだよね。



「先生、人使い荒すぎません?俺のクラスのクラス委員こんなに仕事してませんよ」



「な!それは、ほら。なぁ?」



あわあわと芙祐ちゃんと弥生くんに助けを求める目も。
彼らによってあっけなくスルーされた。
……なんかすいません。




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