【完】ぎゅっとしててね?
差し出された飴はヤヨのお口に入れといた。
そんなことよりあたしの愚痴聞いてよ、ヤヨちゃん。



「いつもバレンタインはクリスマスのプレゼント交換みたいなことになるんだよ。なんか損だと思わない?」



「その気持ちはわからないでもない」



「え?本当?」


わかってくれるの?


話を聞いたら、
あたしとヤヨは仲間みたい。



3月生まれだから弥生。
3月14日生まれのヤヨちゃん。




「それにね、あたしが生まれたのって2月14日の23:59なんだよ。あと1分で15日」



「惜しいな」



「ねぇ?15日なら、14にバレンタイン、15に誕生日で楽しい2月なのにー」




「そんな変わんねぇだろ」



ヤヨは鼻で笑うけどね。
レディーにとってはイベントって一つ残らず重要なんだよ?





「だからね、ヤヨちゃん。明日もお祝いしてくれていいんだよ?」



両手で頬杖をつきながら、あたしにんまり。
ヤヨは呆れ笑い。




「覚えてたらな」



翌日、ちゃんと覚えててくれた。



「おめでと」


って。
あたしに駄菓子の詰め合わせをくれた。




今年も、多分それ。
15日に変更してもらったお祝い。




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