【完】ぎゅっとしててね?
ディスプレイには”080-****-****”。



「知らない番号だー。もしもーし?」



「……出んのかよ」


ってヤヨがぽつり。




電話の先の声。



『芙祐ちゃん?いきなりごめん、リコちゃんから番号きいたんだ』



「リコに……?あっ。もしかして」



リコって聞いて思い出すのは、この前の合コン。



『慶太だけど。覚えてる?』



ビンゴ。英文科のチャラ男。



リコちゃん、あとで藍ちゃんからのお説教だよ。
個人情報っていうのは、万国共通で大切なものなんだよ。




『あー!待って待って!切らないで!』



切ろうとしたら、割れた音。叫んでる。



「もー。なにー?」


『芙祐ちゃん、俺のことちゃらいちゃらいで何にも話聞いてなかったでしょ?』



「そんなことないよー」


『どーだか。俺としては芙祐ちゃんともっと話したくて』


「ゴーインだね」


『男はその方がいいとおもうけど』


「うーん。まぁ、そうだよね」


『芙祐ちゃんは合コンって場が嫌だったみたいってリコちゃん言ってたけどさ。別に付き合おうとかいってんじゃなくて、友達んなろーよ』


友達ってなろーっていってなるもんじゃないけどね、なんて屁理屈は言わないけど。
なーんか胡散臭い。


「わかったよ。よろしくね」


『ありがと。今何してんの?』


「あまやどり」



顔をあげてヤヨをみると、退屈そうに窓の外見つめてる。




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