【完】ぎゅっとしててね?
「いてっ。どうしたのヤヨちゃん。また狂犬?」


にやりと笑った芙祐は、俺の髪を両手でぐしゃぐしゃ。


「あはは。ヤヨ、ぺたんこださーい」



……人の気も知らないで、こいつ……。


俺が戦意すら失った時。



芙祐がおもむろに取り出したのは抹茶チョコ。



「はい、あーん」



って差し出すチョコを手で受け取って。


逆に芙祐の口の中に突っ込んだ。



抹茶チョコは、芙祐の大好物。



芙祐に合わせて抹茶チョコが好きと言ってしまった入学式の俺のこと、芙祐は覚えてるらしい。



「せっかくヤヨにあげようとしたのに。ラスイチだったんだよー?」


「いいから解け」



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