【完】ぎゅっとしててね?
階段を下りて。
今日はいい天気。


玄関に差し込む西日もそれなりに良好。


「芙祐!」



ローファーを履いてたら、後ろからヤヨの声。
数学から脱したんだね。


「どうしたの?」


「傘借りたの俺だから。俺もお礼言いに行く」


ヤヨが変に律儀。
まぁいっか。



慶太くんのところへ行ってみれば、今日もにっこり営業スマイル?
だから営業スマイル返し。



「芙祐ちゃん久しぶり。それに、ヤヨくんだよね?」


「”弥生”だから。傘、ありがとう」


そう言ってあたしの手から傘奪ったと思えば、ヤヨがズイって慶太くんに返した。



「……。どういたしまして。芙祐ちゃん西門から行こうか」


「うん」


慶太くんの方へ行こうとしたら、ヤヨに腕を掴まれた。




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