【完】ぎゅっとしててね?
夏と海と恥じらいと
SIDE 芙祐
***
ヤヨの頭のたんこぶもとっくに治った頃。
夏服も、もう十分着飽きた7月末。
藍の幼馴染で想い人な英文科の彼と、藍ちゃんが、ゴールインしてた。ひと月も前に。
「なんで言わなかったかな~」
「ごめんって」
只今、隣のクラスのリコも含めて放課後おしゃべり。
藍ちゃんに質問攻めを一通りしたとこ。
「あたしも彼氏欲しい」
「珍しいよねぇ。芙祐に3ヶ月も彼氏ができないとかぁ〜」
リコはリップクリームであたしを指さした。やめたまえ。
「ほんとだ。奇跡なんじゃないかな」って藍にまで言われたよね。
みんなけらけら笑う。
「出会いないかなぁー」
「夏は出会いの季節だよぉ~」
リコが勢いよく開いたのは海の家のリーフ。