【完】ぎゅっとしててね?
「で、また別れたって?」


「あれ?なんで知ってるの?」


「藍経由。去年からもう5人目か?」


「しーっ。お口チャック」



人差し指と人差し指。
ヤヨの口もとバッテン。



「んん……っ!はなせ!」


ひひ。
怒った。ヤヨは怒るとすぐ赤くなるよね。



「今回もアドレスやらなんやら全削除か?」



パチン。



「勿論。男を引きずってる女にいい男は寄ってこないってパパが言ってた」



「それは名言だな」



パチン、パチン。
ホッチキスの針が無くなった。
冊子残り半分。



キーンコーンカーンコーン……


らっきーナイスタイミング。


チャイムが鳴ったらおしまい。
2人とも後片付けだけは超早いからね。



残りぜーんぶロッカーの上にどすんと積み上げる。


校舎を出て、自転車を押しながら、正門までは一緒に帰る。
コレ日課。



正門を出たら、あたしは右へ、ヤヨは左へ帰るんだ。
ヤヨに手を振ってから、自転車ごと、夕日にダイブ。



「ばいびー」



ひとむかし前の挨拶マイブーム。



ヤヨは「ばいびー」してくれない。
ぶれいもの。




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