【完】ぎゅっとしててね?
テントについて思い出した。



Tシャツ脱いでたんだった。



「どうした、固まって」



「や、べつに」


「ふぅん」


ヤヨはなんの興味もなさそうに海を眺めてアイス食べてる。


ヤヨはこういう人だからよかった。



なんだ。
脱いだままでも恥ずかしくないや。



「ここのアイスおいしいね」

「うまい」


なんだかのほほん。

ヤヨ、生あくび。


「ヤヨ寝不足なの?」


「昨日バイト終わりに先輩たちとボーリング行ってたから」


「膝枕してあげようか」


「……できねえくせに」


「ん?なんて?」


「なんでもねえよ」


ヤヨの髪がサラサラなびく。



「もうすぐあいつら海から戻ってくるけど。着ねえの?」


そういって指差すTシャツ。


「うん。なんかヤヨの前で脱いだらそんな恥ずかしくなかった。勘違いだったみたい」


「……ふーん」




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