【完】ぎゅっとしててね?
「へぇー、羨まし。芙祐ちゃん今度浴衣着て花火でも行こうよ」
「考えとくねー。あっ。クレープのアイスとけそう」
って、なんでそうなんだよ。こいつは。
ちゃんと断れ、イラつくから。
「なんか豪華なクレープだね。ひとくち頂戴」
「うん、いーよ」
すかさずスプーンで掬って桜木慶太に食べさせてる。
って、おい。
海で『ヤヨにしかやんないよ。』って言ってなかったかお前……。
「この嘘つきが」
「うま。ありがと芙祐ちゃん」
「どういたしまして。ってヤヨ今なんか言った?」
「……別に。早く行こうぜ」
桜木慶太が勝ち誇ったように俺の方をちらりと見たから、芙祐の腕を引っぱって退散。
「ヤヨもいる?」
「いらねぇよ」
「もしかして慶太くんと間接ちゅーは嫌だった?」
「てかお前は嫌じゃねえのかよ」
「潔癖じゃないからね」
「……あっそ」
あれだ、価値観。
価値観が違いすぎる。