不器用な恋
第1章
無表情な彼女
「き、桐沢君……。す、好きです。よかったら私と付き合ってもらえませんか」
そういう女は身長150くらいのふわっとしたうちの高校でも人気な女の子。
矢沢杏里。
可愛いし、こんな子に告白されれば断らない男は誰一人いないだろう。
俺を除いて。
「ごめん、矢沢さん。俺……、好きな奴いんだよ。矢沢さんの気持ちには答えれない」
できるだけ傷つけないよう言葉を選びながら発する。
すると彼女は涙を流しながらにこりと笑い
「そっかぁ、残念!その子が羨ましいなぁ…、ふふ」
そう残し彼女が去っていくと同時に
後ろから
ドスドスと音を立てて歩いてくる1人の気配。
「おい」
「なにさ、悠里ちゃん」
「ちゃんって呼ぶな!!!!」
そう、怒っているのは
幼馴染みの、秋葉悠里。
「お前、俺の可愛い杏里ちゃんを断ってんじゃねえぞ!」
「なんで、お前に決められなきゃいけないの…。はぁ、どうでもいいけど、好きなら告白して来なよ」
そう言うと、顔を真っ赤にして
威嚇してくる。
「んっん!あれか…、お前はまだ山田さんの事好きなわけ」
と、いってくる悠里に
「まぁね」と、空を見上げながら答える。