不器用な恋
二人きり
「これがこうで、ここをこうすると答えが出るの」
「へぇ、わかりやすいな」
「あーーー、休憩しよう!」
私と杏里と慎君。
杏里の教室に集まって勉強会をしている。
もうすぐでテストの時期。
杏里が提案してきた。
「だめ、あと15分がんばろ?」
「トイレ行ってくる!」
「あ、杏里……」
そそくさと逃げる杏里。
教室には私と慎くんの二人になってしまった。
「杏里がいいだしたのにな」
と、笑う慎くんに
「ほんとうに……ね…」
と、言う。
「最近、表情穏やかだな」
そういう慎君は
安心したように笑う。
「そ、うかな……」
「うん、前はさ寂しそうな目してた」
そう言われ、どきっとする。
そんなにばれやすいのかな。私……
でも……
「でも、そんな目してたかもしれない。私は……、杏里みたいにキラキラした笑顔はできないし……。ていうか、笑うこと自体できないけど……
でも、今は楽しいと……おもう…」
そう、下を向きながらいうと
慎君がクスッと笑う。
「瑠樹は不器用なだけなんだよな」
そう、頬を赤らめてくすくすと笑う。
そんな彼が
可愛いと思ってしまった。
「そ、そんなに、笑わなくてもいいじゃん」
「いや、可愛く、て……え。いや、……」
「杏里の方が可愛いよ」
そういう、私に
はぁ、とため息をつく慎君。