不器用な恋
「綺麗な髪」
「……お父さん譲りなの」
お父さん…か。
実際見たこともないけど
母さんがよく話してくれたかな。
むかしに…。
いまはもう、会うこともない母さんに。
「なぁ、瑠樹って身長何センチあんの?」
「162…。高いでしょ……」
「高いな、でも俺182」
「高いね」
こんな、他愛もない会話。
それでもなぜか落ち着く。
「私ね、この顔嫌いなの」
「…なんで?」
「私のお父さんフランス人でね、かあさんは日本人で、私はハーフ」
慎君になら
話してみてもいいんじゃないかなって。
「私が3歳の頃にね、父さん病気で死んじゃったの」
もしかしたら、救ってくれるんじゃないかって
「そのころから母さん変わってね、私に暴力振るうようになったの。とうさんに似た顔が気にくわないらしくてね」
どこかで期待してるの。