不器用な恋
「物心着いた頃には、親に殴られるのは当たり前って思っててでも違うかった。
どうして、私だけなんだろうって…
この頃は私よく泣いてた……。でも、10歳の時私、母さんに捨てられたの。
その頃からかな。
私、笑うことも泣くことも怒ることもできない。感情のない人間になっちゃったの。
ある日クラスメートがね、愛って言葉が好きだっていってね、周りのみんなは頷くの。
でも、私は愛がなんなのかわかんないから
一人置いてかれた。
愛ってなんだろう。
温もりってなんだろう。
親戚にもたらい回しにされてきて
要らない子。
私、生きてる意味あんのかなって」
話し終えると
彼は
悲しい目をしていた。
「ごめん、こんなこと……はなして…」
そういうと、ニコッと笑い
「いや、嬉しいよ。俺にこんなこといってくれるなんて。
辛かっただろ」
そう、頭を撫でてくれる彼に
こころがじわじわと暖かくなる。