不器用な恋
すると、ぎゅっと私を抱きしめてくる杏里。
「ごめっ、んっね。私、る、っきが羨ましいと、おもったの。でも、る、きがすきだから、ちゃんと、はなそうって」
泣きながらいう杏里をぎゅっとだく。
「うん、私も杏里が好き」
そう言うと、涙でぐちゃぐちゃな顔を手で拭いにこっと笑ってくれる杏里。
「私、慎君に振られてるの。慎君の好きな人が瑠樹でよかった。瑠樹じゃなかったら諦めれなかったもん」
そう、笑顔でいう彼女。
「……辛くない」
「うんって言えば嘘になる。でも、辛くないよ!」
今、杏里にいいたいんだ。
「杏里、あの日私に声かけてくれてありがとう。また明日って言ってくれてありがとう。……友達になってくれてありがとう」
そういうと笑顔で
「うんっ」
という、彼女は
今までで一番輝いていた。