不器用な恋

すると、ぎゅっと私を抱きしめてくる杏里。

「ごめっ、んっね。私、る、っきが羨ましいと、おもったの。でも、る、きがすきだから、ちゃんと、はなそうって」

泣きながらいう杏里をぎゅっとだく。

「うん、私も杏里が好き」

そう言うと、涙でぐちゃぐちゃな顔を手で拭いにこっと笑ってくれる杏里。

「私、慎君に振られてるの。慎君の好きな人が瑠樹でよかった。瑠樹じゃなかったら諦めれなかったもん」

そう、笑顔でいう彼女。

「……辛くない」

「うんって言えば嘘になる。でも、辛くないよ!」

今、杏里にいいたいんだ。

「杏里、あの日私に声かけてくれてありがとう。また明日って言ってくれてありがとう。……友達になってくれてありがとう」

そういうと笑顔で

「うんっ」

という、彼女は

今までで一番輝いていた。


< 24 / 28 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop