強引なカレの甘い束縛
友達が両親から愛されるように、無条件に愛されることは諦めたけれど、それでも高校を退学して受験し直すように言われるとは思ってもみなかった。
修学旅行ですら参加できないなんて。
それ以降、精神的なショックが大きかった私は学校に行くことができなくなり、無断欠席が続いた。
心配した先生が電話をくれたけれど、両親が家にいることはなく、姉さんに連絡をとってくれた。
すると、就職して独り暮らしをしていた姉さんが、慌てて来てくれた。
『七瀬、大丈夫?』
家に飛び込んできてすぐに私の様子がおかしいことに気づいた姉さんが、開口一番そう言った。
学校を休み、家にとじこもっていた私は食事ものどを通らず、何も考えられなくなっていた。
そんな中でも両親は仕事に出かけ、数日その姿を見ることもなかった。
どこか遠くに写真を撮りにいっていたんだろう。
それまでもそんなことはよくあったけれど、我慢を強いられてきた私の体は限界を迎え、心にはなんの感情も宿らなくなっていた。
『わたし、笑えないの』
気づけば、私は笑えないどころか表情を作ることができなくなっていた。