強引なカレの甘い束縛


今ではそれも、笑い話のひとつになっている。

その後しばらくして、両親は事故に遭い還らぬ人となった。

私たち姉妹に落ち着かない人生を強いた親だったとはいえ、やはり私と姉さんの悲しみは大きく、しばらくは悩んでばかりだった。

引っ越して海岸沿いの街で暮らし始めていた両親に私が一緒について行けば、両親が事故に遭うこともなかったかもしれない。

ふたりが死ぬことはなかったかもしれない。

私の幸せよりも自分たちの感情を優先し続けた両親だけど、嫌いだったわけじゃない。

家族としての愛情だって持っていた。

『私が一緒にいれば、こんなことにはならなかったのかな』

両親の葬儀を終えた夜、遺影を前につぶやいた私に、姉さんは首を横に振った。

『それを言うなら、私だってひとり暮らしをせずに一緒に暮らしていればこんなことにはならなかったかもしれない。だけど、いまさら何を悔やんでも仕方がないんだよ。たとえ四人で暮らしていても、同じ運命だったかもしれないし』

涙声で仕方がないと話す姉さんだって、私以上に悲しんでいた。

その頼りない姿を見て、私は自分だけが悲劇のヒロインのように感じていることに気づいた。

そして、子どもの頃から私を守り育ててくれた姉さんの気持ちを察して恥ずかしくなった。








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