強引なカレの甘い束縛


両親の運命を嘆き、過去を悔やむのはほどほどにしなければいけないと、心を新たにした。

あれだけ自由に生き、愛し合う者ふたりが一緒に旅立ったのだから、両親は幸せだったと姉さんに言われ、どうにか気持ちを落ち着かせることができた。

以前のように感情をなくすこともなく、立ち直ることができた。

私に寄り添い、気遣ってくれた姉さんと、今では姉さんの旦那様である忍さんが私の生活の面倒を請け負ってくれたおかげだ。

忍さんのご家族のご厚意は今でも続いていて、今住んでいる家を用意してくれたのも音羽家の優しさがあってこそ。

大学を無事卒業し、世間に名前が知られている企業に就職できたのも、周囲の支えがあってこそで。

私は恵まれているといつも感じている。

けれど、落ち着くことのない子ども時代を過ごした反動で、私は今でも自分の環境を変えることに極端な不安を覚える。




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