強引なカレの甘い束縛
「山内さんに聞いておくから、小野さんと一緒にちゃんと勉強しろよ」
それは決定事項だったのかと、私はその言葉にげんなりする。
反論しようと口を開いたけれど、陽太は自分の言いたいことを言うとすぐに背を向け、あっという間にどこかに消えた。
それほど私にシステムの内容について勉強させたいのかと、気が重い。
たしかに自分のためにもなるし、業務に役立つこともあるだろうけれど。
「まあ、長くここで働くつもりなら、必要かな……」
とりあえず勉強してみようかと、諦めの息をついた。
忍さんから陽太に届いたメールも気になるけれど、普段からメールのやり取りをしているふたりのことだから、とりたてて急いで聞く必要はないのかなと。
まずは自分の仕事を日々変わらずこなしながら講習会を無事に終えなければ。
毎日のリズムを大切に、そして変わらぬ穏やかな日常。
それだけのために、私は日々を送っているのだから。