強引なカレの甘い束縛

②


シュークリームを買った後、再び電車を乗り継いで目的地に着いた。

『マカロン』のドアを開けると、広い店内の奥に輝さんの後ろ姿が見えた。

いつもどおりの黒いカッターシャツにジーンズというあっさりとした定番スタイルに、一瞬見惚れた。

どうしてこんなに腰の位置が高いのだろうと、まじまじと後ろ姿を凝視してしまう。

「砂川さんのスタイルが抜群なのは遺伝なのかな、輝さんも、足が長い」

ため息交じりに出た言葉に、私の一歩前を歩いていた陽太がピクリと反応した。

振り返ったその顔は眉間にしわが寄っている。

「俺の後ろ姿が目の前にあるのに、輝さんのことを誉めるか、普通」

とぶつぶつ言ったかと思うと頭を必死で後ろに向けて自分の背中を見ては輝さんと比べている。

つられて私も陽太と輝さんの後ろ姿を交互に見ながら

「陽太だって、体のどこにも無駄なものはついていないしジーンズを買うとき切ってもらうことのない長い足だし。輝さんに負けてないよ」

慌てて言った。

別に陽太のご機嫌をとるためにそう言ったわけではなく、たしかに陽太のスタイルだってうらやましすぎるくらいバランスがいいのだ。




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