強引なカレの甘い束縛
さっきふたりで食べたたまごサンドとパンケーキも陽太の体になんの影響も与えることはないんだろうと、じとりと見つめる。
これが男性と女性の差なのだろう。
すると、陽太が何かを思いついたように素早く振り向いた。
「俺の体に無駄な肉がついてないって、見たこともないくせに。あ、早速この後見せてやろうか?」
「え? 見せて……って」
「俺の体はもう七瀬のものだし、反対に七瀬の体は俺の、いてっ」
「み、見てるし、砂川さんが。もう、静かにしてよ。それに、み、見せてなんてそんなの言ってないし」
「言ってないけど見たいくせにさ。それにしても、細い腕でよくそんなに強く叩くよな。かなり痛いんだけど」
陽太は、照れた私が思わず叩いてしまった右腕をおおげさに振って見せた。
痛いのはたしかだろうけど、ぶんぶん振りながら「痛い」と言われても説得力もなく。
「ちぇっ、せっかく俺の自慢の体を見せてやるって言ってるのに、照れるなよ」
と続けられれば照れるどころか呆れてしまうし。
ほんの少しだけ、陽太の体を見てみたいと思った気持ちを忘れたふり。
そして、お店の奥のカウンター近くで男の子に指示を与えている輝さんに向かって歩く陽太に続きながら。
スリムジーンズに包まれたその長い足に、ついつい目がいく自分に再び照れた。
照れつつも、ふと冷静になると陽太の背中が普段と違うように見えた。
何度か見たことがある淡いグリーンのシャツだというのに、その後ろ姿に多少の緊張感も感じて「ん?」と目を細めた。