強引なカレの甘い束縛


「砂川さんも、園田さんも、今日は朝からわざわざすみません」


陽太がカウンターに近づいた。

私も隣に慌てて並び、一緒に頭を下げる。

せっかくのお休みであり、まだまだ新婚のふたりに来てもらって、陽太は恐縮しっぱなしだ。

すると、砂川さんは普段と変わらない大きな笑顔で

「いいのいいの。輝にランチを作ってもらえるならいつでも来るわよ。それに、陽太があんな切羽詰まった顔をして頼んできたら断れないしね」

「切羽詰まったって、そんなこと」

「ふふ。まあね、初めてのプロジェクト参加だし、社運がかかってるとなればさすがの陽太もびびっちゃうだろうし。奏がお役に立つならどうぞどうぞ」

「夢、春川くんをからかうのもいい加減にしろよ。社運がかかってない仕事なんてないんだから、脅かすなよ」

「脅かしてるわけじゃないんだけどさ。陽太が休日にまで仕事の話をしたいなんてびっくりだし、それに、嬉しいし」

砂川さんと、旦那様の園田さんは、体を寄せ合いながら話を続けている。

別の会社で働いているとはいってもそれぞれ責任ある立場についている。

今は同じプロジェクトをすすめている同士でもあり、会議中で目にするふたりの様子には真剣なものしか感じられないけれど。




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