強引なカレの甘い束縛
園田さんが砂川さんに一目ぼれし、結婚した今も溺愛中だという噂は本当だったんだなと納得できる。
スツールに腰かけた砂川さんの膝あたりに園田さんの手が自然に置かれていて、砂川さんもそれを拒むことないし。
お互いを見つめ合う視線は仕事中とはまったく違っていて優しい。
「砂川さん、まるで女の子ですね」
ぽつりとつぶやいた私の言葉に、園田さんが視線を向けた。
「そう、俺の夢ちゃんはいつでも可愛い女の子なんだ。会社では別人のようにクールだけど、それもまた魅力的。だけど、いつになったら〝砂川〟じゃなく〝園田〟に変わるんだ?」
「は、はあ」
拗ねたような表情と口ぶりに、どう応えていいやら。
砂川さんはくすりと笑った。
「このプロジェクトが終わったら旧姓で仕事をするのはやめるから、心配しないで。同じ名前がひとつのプロジェクトにいたらややこしいからね」
諭すように園田さんに言っている砂川さんの横顔は優しくて、仕事で見る厳しいものとは違い本当に可愛らしい。
「じゃ、ランチの用意をするから、姉貴たちもテーブル席に移ってくれよ。グラタンが食べたいんだろ? すぐに出来あがるから待ってろ」
傍らにいた輝さんの声に、砂川さんは嬉しそうに笑顔を見せた。