強引なカレの甘い束縛
「輝の料理はなんでもおいしいけど、なかでもグラタンは絶品なのよね」
すとん、とスツールから降りた砂川さんを支えるように立ち上がった園田さんは、そのまま彼女の背中に手を回し、すでにセッティングされているテーブル席へと連れて行く。
「ホントに砂川さんを愛してるんだね。砂川さんの体のどこかに絶対触れてるもん」
「だな。あれで仕事ができるエリート銀行マンだから無敵だよな」
「……陽太も負けてられないね。頑張れ」
私は弾んだ声でそう言って、陽太の背中を叩いたけれど、無言のまま何も言わない陽太に違和感を覚えた。
「陽太?」
「あ? いや、何でもない。そうだな、俺も負けずに頑張るか」
にっと笑った顔を向けられて、私もそれに応えたけれど。
今日何度か感じたおかしな感覚が、再び私の中に生まれた。
いつもの陽太とは、やっぱりどこかが違う気がする。