強引なカレの甘い束縛


おいしい食事をいただいた後、砂川さんと園田さん、そして陽太の三人はいつの間にかプロジェクトの資料を広げて話し始めた。

初めのうちは私にもわかる内容もちらほらあったけれど、陽太が園田さんに疑問点を問うに従い、その内容も専門的なものになり、私は口を閉じたまま聞き役に徹していた。

手元にある資料は社外持ち出し可能なものばかりで、ある意味プロジェクトをすすめるうえでは浅い内容のものだ。

第三者の目に触れても問題のないものであり、体制に影響のないもの。

だというのに、私にはまるで外国語のように見え、数字とアルファベットの羅列に眩暈を覚えた。

食後のデザートにと持ってきた『ルイルイのシュークリーム』を食べたあと、コーヒーを飲んでみても眠気に襲われてしまう。

真面目な話が耳元をかすめ、そのたび必死で意識を戻そうとしても、これがなかなか難しい。

幸か不幸か、私以外の三人は話に夢中で私のそんな様子に気づくこともない。

それにほっとしながら話を聞いていると。

「七瀬ちゃん、新しいメニューを考えたんだけど、試食してくれる?」

背後から、輝さんの声が聞こえた。




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