強引なカレの甘い束縛


相当悔しそうだけど、何も言い返さないところを見れば輝さんの言葉はあながち間違いではないらしい。

そうか、砂川さんは家事が苦手なのかと思い、不思議とほっとした。

仕事をばりばりとこなし、女性としては異例のスピードで昇格を果たしている彼女にも、できないことはあるらしい。

「休みの日には頑張って食事の支度をしてくれるし、できる範囲で頑張ればいいんだよ。俺だって家事はできるんだから、夢は元気でいてくれればいいんだ」

砂川さんの頭を軽く撫でた園田さんに、輝さんは再び大きな息をついた。

「あーあ、奏さんが甘やかすから姉貴が調子に乗るんですよ。まあ、姉貴のためというよりも、姉貴をもらってくれた大切な奏さんのために、夕食は作っておくから、ちゃんと食べて仕事頑張れよ」

「うん、輝もふみかちゃんを早くものにして幸せになってね」

「もちろん、そのつもり」

照れるわけでもなく、なんの動揺を見せるわけでもない普段とは変わらない輝さんの口調に、私は驚いた。

ふと見れば、陽太も同じように驚いているようで、私を見て肩をすくめた。

雑誌で紹介されるほど人気がある『マカロン』の店長である輝さんは、見た目の良さと客商売向きである人当たりの良さでかなりの人気がある。

とくに女性客からの視線は営業時間中絶えることがない。




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