強引なカレの甘い束縛
けれど今の私にはそれができない。
陽太たちと同じテーブルにつき、資料を目にしていたときにも何もできず、ただ見ているだけだった。
陽太たちにとっては意味のある数字も私には単なる数字にしか見えなくて、それが情けなく思えた。
普段私が担当している仕事ではないのだから仕方がないけれど、それでも陽太や砂川さんと同じ部署にいるのだ。
何か手伝えることはないだろうかと考えてみても何も浮かばない。
おまけに、この間山内さんにシステム開発の浅い部分を教えてもらっていい気になっていた自分が恥ずかしい。
プログラムの間違っている個所を見つけることができたのだって偶然だろうし、それはほんのさわりの部分だったのだろう。
本来の私は、陽太の力になるどころか、今何に悩み苦しんでいるのかもよくわからないのだ。