強引なカレの甘い束縛

「陽太がそこまで切羽詰まっていて私にその姿を見せたくないのなら、いっそひとりでここに来れば、私に気を遣うこともなかったのに。園田さんや砂川さんと思う存分仕事の話もできたと思うんだけど」

「男は複雑だから」

「なんですか、それ」

「うーん。決して格好いい姿じゃない自分を七瀬ちゃんに見せてでも、一緒にいたくてここに連れて来たんじゃないのか？」

冷やかすような声に、うっと言葉を詰まらせた。

俯き無言でいると、輝さんは変わらず軽やかな口調で言葉を続ける。

「せっかくの休日だから一緒にいたかっただろうし、七瀬ちゃんと陽太って同じ部署で仕事をしてるんだろ？」

「あ、はい。でも、陽太は専門職で、私は事務職ですけど」

「だったら、自分の仕事を七瀬ちゃんにもっと知って欲しかっただろうし、この先プロジェクトで壁にぶつかったときにも七瀬ちゃんにそばにいて欲しいって思ってるんじゃないのか？」