強引なカレの甘い束縛
むしろ、どうすれば陽太との関係をいっそう近いものにできるかと考えている。
無意識は怖い。
個性的な両親に育てられたせいで、世間一般の女性のように恋愛の機微を喜んでみたり、駆け引きに通じるやりとりができるとは思っていなかったけれど。
輝さんのことを口にしては陽太の表情をうかがい、私への想いを確認している。
それはまるで恋愛のルールを知っている女性のようであり、自分には真似することのできない憧れのようなものだったのに。
私は恋する普通の女の子だったのだ。
陽太に妬いてほしいと、無意識に願い、探っている。
「もちろん輝さんは格好いいけど、それだけだよ」
意識して軽い口調を心がけてみても、その言葉の裏側には陽太のいら立ちを煽っては楽しむ狡さが見え隠れする。
そんな感情もなかなか新鮮で、陽太の隣を歩く足取りは軽やかだ。
すると、陽太の腕にからめていた私の腕がすっと外されたかと思うと、それを寂しいと思う間もなく肩を抱き寄せられた。
「まあ、輝さんは俺から見ても格好いいし憧れていないわけでもないからいいとして。今後は俺以外の男を誉めるのは禁止。男としてはもちろんだけど、人間的にいいと思った男のことも、口には出さずにいろ。じゃなきゃ、イライラして面倒くさい」
「面倒くさいって言われても……。思わず口に出ちゃうかもしれないし」
陽太がぐいっと私を引き寄せる。
その強さが心地いい。