強引なカレの甘い束縛
気持ちを確認して、当然のように陽太の隣にいられる立場は手にしたけれど、どこか恐々とそれを受け入れていた私の心は一気に砕けた。
ここまで言ってもらえて、悔しそうな顔を見せられたらもう、私だって子どものように素直になるしかない。
あ、私が子どもの頃は、決して素直に自分の感情を吐き出すことはなかったっけ。
それなら今、その時の分も取り戻しながら素直になろう。
私は陽太の腰に手を回してお互いの体をさらに密着させた。
途端、陽太の体が震えて、私の気持ちはさらに右肩上がり。
「私だって、陽太が女の子と話してるの見たらむかつくし、割って入って邪魔したくなる。だけどいい大人の女はそんなことはせずに、あとから陽太にぐずぐず愚痴を言って慰めてもらうことにする。陽太は私だけのものなのにって言いながら、頭を撫でてもらう」
「お、おお。任せておけ」
私がここまで素直な言葉を口にして、陽太は慌てている。
密着している体が強張ったようで面白い。
「うん、任せる。だけど、私も陽太の愚痴を聞いて頭を撫でてあげるから、頼りにしてよ。さっきみたいに私のことを目の届く場所に放り出してくれていいから」
「ほ、放り出したわけじゃ……ないつもりだったけど、結局そうなったな、ごめん」
気落ちした陽太の声に、私は笑った。
「やっぱり自覚してたんだ。砂川さんや園田さんと仕事の話を楽しそうにしていたもんね。私が入る場所なんてなかった」
「悪い。あのふたりと話してたらつい夢中になったんだよな」
「ううん、それはいいの。陽太がどれほど仕事が好きなのか、わかってるようでわかってなかったし」
そう言って、陽太を見上げると、多少赤くなった顔で、私を見ている。
その照れた顔を見て、私も照れる。
素直に自分の気持ちを口にするのは、慣れてなくてやっぱり難しい。