強引なカレの甘い束縛


大原部長のバーベキュー以来、陽太のペースで振り回されているような気がするけど、振り回される面倒くささよりも、嬉しさの方が大きいのも事実。

新しいことを始めることに躊躇してしまう私には、今の陽太のようにがつがつと進めてもらった方がいいのかもしれない。

マリッジリングどころか自分にも婚約指輪を買って、「俺は七瀬に売約された」と周囲に知らせたいと真面目につぶやく陽太の姿に驚きはあれど、こそばゆいほどうれしくもある。

とはいえ、やはりそれは経済的にももったいないからやめようと私が説得して、諦めてもらった。

結婚すればマリッジリングが薬指に光るのだからと言えば、早く入籍しようと言われたのは想定内のことで、焦ることもなかった。

そんな自分が新鮮で、不思議と嫌ではなく、余裕さえ感じるのはきっと、陽太に私の過去を話せたからだ。

姉さんへの申し訳なさと自分のずるさを話すことができた私は、陽太の言葉や子どものような表情が、今まで以上に愛しく思える。

そんな様子はきっと、私が見えていなかっただけで陽太は出会ったときから何も変わってないのかもしれない。

私の複雑な感情が邪魔をして、陽太の姿をまっすぐに見ていなかった。






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