強引なカレの甘い束縛
朝からの慌ただしい流れの中で、疲れた七瀬を休ませてやりたいというのは単なる言い訳で、俺が七瀬を補充したかったのだ。
そうでなければ、披露宴の最中に我慢できずあれやこれや……。
という可能性もゼロではない。
「そろそろ、行かなきゃ」
部屋の時計を見ながら、七瀬がゆっくりと立ち上った。
そして、鏡に自分の姿を映して身支度を整える。
「ちゃんと、綺麗だぞ。それに、係の人があとで仕上げてくれるだろ」
不安そうに鏡を見ている七瀬に声をかければ、小さく頷きながらもドレスや髪を気にしている。
そんな姿を見るのも今日だけのことだ。
俺はしっかりと目に焼き付けながら露わなうなじに唇を落とした。
「大丈夫、痕はつけてない」
笑いながらそう言えば、途端に耳まで真っ赤になる。
だから、やめられないんだ。
七瀬の背後に立ち、鏡に映るふたりの姿も、記憶に残し、さあ、披露宴だ。
そう思ったとき。扉をノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
七瀬の声に促されるように扉が開き、担当の青山さんが顔をのぞかせた。