強引なカレの甘い束縛
そして、プロジェクト終了後には異動させられる可能性が高いと気づいた。
そのときまでに、七瀬と結婚して異動先に一緒に連れて行かなくてはと焦った。
なかなか自分の日常を崩そうとしない七瀬に密かに手を焼いていた俺は、大原部長のバーベキューに七瀬を連れて行き、俺と七瀬の関係を周囲に認知させた。
強行作戦だともいえる。
もしも、俺の異動が決まったときに、七瀬と結婚していなかった場合に備えて、七瀬込みでの異動を大原部長に考えてもらおうと思ったからだ。
たとえ入籍がまだでも、結婚を前提に付き合っていることを大原部長が知っていれば、七瀬も同時に同じ場所に異動させてもらえるかもしれないと願っての、これもまた俺ひとりが強行したもの。。
そして、そんな俺の企みを後押しするかのように、大原部長は七瀬をシステム開発の講習会にも参加させ、総合職に職種変更させるきっかけを作ってくれた。
総合職の試験を受ける条件のひとつが、七瀬が参加した講習会の受講だからだ。
結果は上々。生来の頑張り屋な性格ともともとの頭の良さにより、あの講習会での成績は文句のつけようがないほどの好成績だったらしい。
その後、偶然にも秘書課から七瀬を引き抜きたいという申し出があり、七瀬を気に入っている大原部長は渋々了承した。
秘書課で働けば、社内の多くのことを知ることとなる。
社外厳秘の重要機密に触れる機会も多いが、それを口にすることはもちろんできない。
口の堅さと状況を判断する臨機応変な適応力。
そして、やはり真面目な勤務態度。
そのすべてを兼ね備えている七瀬に白羽の矢が立つのは納得だ。
七瀬の今後のキャリアを考えても断る理由はない。