強引なカレの甘い束縛
「卵を落とされたらたまらないからな。七瀬がしでかしそうなことはちゃんと予想してるし、見逃すわけがない」
「な、何を偉そうに言ってるのよ」
「偉そうっていうよりも、これだけ長く一緒にいるんだから、七瀬が鈍くておっちょこちょいなのはよくわかってるし、だから目が離せないんだろ?」
「鈍い? おっちょこちょい?」
「え? 反論するのか?」
「う、ううん。ごもっともです。はい」
「だろ? いつまで七瀬は変わらないから、俺がちゃんと見守ってるんだ。こうして俺が卵を受け止める準備をしているのも七瀬のことをわかってるからだ」
陽太は当然だとでもいうようにそう言って、私の手から卵を取り上げかごに入れた。
その流れがあまりにも自然で、思わず「ありがとう」とぽつり。
だけど、どうして卵を落としそうになったのかを思い出し、相変わらずとくとく言っている心臓の音にもはっとした。
「そ、そうだ、いつまでもこうしていたいためのバーベキューって言った?」
陽太の言葉が気になって、私は再び陽太の背中を追う。