ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】

それぞれの昼休み

翌日の昼休み

私は社長と鈴村さんという、妙な組み合わせで中庭にいる。

中庭といっても、今は11月。
日差しは暖かいけど、風は冷たいから、中庭が見える全面ガラス張りのテラス席に座っている。

テラス席からでも、中庭の素晴らしさは十分に伝わってくる。

時おりそよそよ揺れる常緑樹。

いつもら素敵な花壇には、ガーデンシクラメンが見頃だ。

お弁当屋さんのお弁当を広げる。

「私まで、平川さんとお昼をご一緒できるなんて、光栄です」

す、鈴村さんが喜んでる。

「何ですか?平川さん。私だって嬉しい時は嬉しい顔しますよ?」

また読まれたのか?私…

「お…お庭を眺めながら食べるお弁当は美味しいですね?社長」

矛先を変えてみる。

なのに、無理やり会話に入ってくる鈴村さん。
この人、こんなキャラだっけ?

「平川さんは知ってますか?ここの花壇の手入れは社長がしてるんですよ?
一部の花壇ですけど…」


「えっ?社長が?」

花壇のあちこちに、妖精の置物があったり、夏のクレマチスや朝顔の蔓が器用に形作られていて、すごく丁寧な仕事だ。

「疑ってますね?キュートなオジさんなんですよ?社長は」

ポリポリと頭を掻く社長は、なんだかかわいい。

うーーん。社長に悪魔的要素がない。
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