ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
暫くの間、氷で冷やし続け、

ようやく、ふわふわの白いタオルで左手が包まれた。

「あったかい…あ!手首の痛みがなくなってます‼︎ 」

「もう少し、冷やすよ?」

と、湿布を貼ってくれる。




コトッ…

テーブルに、紅茶のカップを置いてくれる。

「ありがとうございます」

林檎の香りがする。

「美味しい…あの、矢神さん。
何から何まで、ありがとうございます」

フローリングの床に敷いたラグの上で
三つ指をついて頭を下げる。

「……」

「あの…」

「何やってんの…

きみ、あのまま帰したら手首、何もしないでしょ?ちゃんと冷やしておかないと腫れるから」

たしかに。自分なら、ここまでしないだろう。




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