ひみつの琴子さん【修正 & side story完結】
かなり遅い時間になった。

このままじゃヤバい。

平川が、紅茶を飲み終えたところで、声をかける。

「送って行く。道案内お願い」

ジャラリと車のキーを手にした俺に

「そんな…大丈夫ですよ?電車まだありますし」

と遠慮する平川は無視だ。
平川に上着を渡しながら、駅までの道、分かんないだろうと地下駐車場へ連れて行く


ピッ


どうぞ…と助手席のドアを開けてやる。

女にドアを開けやるなんてしたことない

俺の車は四駆だから、小さな平川が乗り込むのに苦労しそうで、思わず乗り込むのを手伝う。

初めてづくしだ。


・・・・・


チャッ

サイドブレーキをかけ、平川が部屋に入るまで見届ける。

ぺこりとと頭を下げ、平川は部屋に入って行った。

パタンと閉まったドアを見つめ考える。

なぜ、平川は本当の姿を隠している?


彼女のことが知りたい…


高い位置まで登った満月が、街を…俺を明るく照らしていた。






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